創作脚本の部屋へ 作：村崎 修・池口友美 潤色 五ノ井幹也
【キャスト】
ノ ロ 男
テ ラ 男
リ ン 女
マ リ 女
サ ト 女
イ ル 女
ラ ス 男
クロー 女
ウンパッド 女
ド ア 女
ティガ 女
将 軍、レグルス
客（声）
商 品
『オープニング』
暗闇に響く銃声や爆発音。閃光がもれる。扉の開く音と共に白衣の老人が駆け込んで
くる。だがその足取りは弱々しく、息も荒い。爆発音。部屋に漏れる光で、白衣が鮮血で
汚れていることが分かる。やがて老人は意を決したようにある装置の扉を開け、不自由な
体を装置の中へと投げ入れる。最期の力を振り絞って扉を閉めると、装置はうなりを上げ
て作動する。
やがて静寂が戻り、装置の扉が再び開いた。中からは一人の青年が現れる。老人とは
似てもにつかない姿で、装置から一歩足を踏み出した。
声 居たぞ！
発見された青年はその場で一斉射撃を受ける。こりゃ、死んだな…ってぐらい。銃声が
やむと、なんとその青年は立ち上がった。信じられないことに彼の手には数発の銃弾が
握られていたのだった。
テ ラ あんた、逃げた方が、いいんじゃない？
不敵に笑うテラ。暗転。音楽。
『イルを向かえて』
明かりがつくと舞台上にさまざまなガラクタが散らばっている、よく見ればそれらは手や
足に見えないこともない、それとハコが５つかたまっておかれている、テラ、マリ、サトが
思い思いの場所でくつろいだり、ガラクタをいじったりしているリンが走ってやってくる
リ ン テラーーーー！大変大変！
テ ラ どうした？なにがあった？
リ ン ノロが…埋まった
テ ラ どこに埋まった？
リ ン ダストシュートの下のゴミ山
テ ラ あそこには行くなっていつも言ってるだろ？
リ ン ごめんなさい！
マ リ ノロは今頃星になってんじゃない？
サ ト そんなこと言ってる場合じゃないわよ
テ ラ 俺が見に行ってくるからまっとけよ？
リ ン うん
テラが走り去った後、反対から汚れまみれのノロが登場
サ・リ バケモノーーーー！
ノ ロ え、えぇ？俺だってノロ
マ リ 不細工
ノ ロ ひどくないか！？
マ リ おっとつい本音が
ノ ロ よくみろよ！
近づいてくるノロに、逃げまわるサトとリン
ノ ロ いい加減に気付けよ、ノロだって！
リ ン （顔をまじまじと見つめ）この不細工な顔は…ノロ！
ノ ロ なんだそれ！
サ ト ノロびっくりさせないでよ
ノ ロ こっちがびっくりしたよ、つかリン！俺をおいて逃げるなよな、死ぬかと思ったぞ
マ リ 正確には壊れる、私達は人間じゃないの
ノ ロ 相変わらずきびしいなぁ、細かいことはいいじゃん
リ ン 掘削機は！？
ノ ロ 俺の心配はないのか？
リ ン だから掘削機は？
ノ ロ 壊れたよ、あの掘削機でもだめだとはなー
リ ン ってことは、次からの穴掘りスコップでやるの？面倒くさいなー
ノ ロ お前が使うっていいだしたんだろーが、我慢しろ
リ ン えー
サ ト それにしてもよく、ゴミ山に埋まったのに死ななかったわね
ノ ロ たまたま新人が助けてくれたからな
マ リ 新人？
イルがゆっくりと出てくる
リ ン あの人？
ノ ロ 以外誰がいる？
マ リ ようこそ新人さん、人間から解放され自由を満喫できる夢の国へ！
イ ル 夢の国？
サ ト このアンドロイド廃棄ステーションの別名よ
マ リ 夢のかけらもないけどね
ノ ロ まぁそんな悲観的にならなくても、確かに自由なんだし、いつもこき使われていた時から比べれば、まだ状況は良くなったほうだよ
マ リ 全然良くなってない、まったく誰よ、ここはまじめに働き、人間に貢献した、選ばれた者しか入れないってゆったの。壊れりゃ誰でも
入れるっつーの
サ ト まぁ、選ばれてるのには嘘はないけど。こいつ要る、こいつ要らないって
ノ ロ 人間なんてそんなもんさ、あいつらは使えなくなったり、都合が悪くなるとすぐにぽいだ、しってるか？人間の世界には年をとって
ボケちまったやつや動けなくなった奴をここみたいに処分する場所があるんだ
リ ン へぇ〜…
サ ト 処分じゃなくて保護、家族や住居、経財的な理由で自分の家で生活が難しくなった人を助ける施設よ「老人ホーム」ってゆうの
ノ ロ それは本当に保護なのか？俺らと同じだよ、いらなくなったから捨てられた
マ リ 場所は違えど境遇一緒、なんていってみたりー
サ ト もう、確かに不純な理由で預けた人もいるかもしれないけど、そんな人ばかりじゃない
マ リ 老人ホームと比較するつもりじゃないけど、私たちは実際に閉じ込められてる
ノ ロ まぁでも、この中では自由だ、人間様は壁の向こうだしな
リ ン 大丈夫！このリンがみんなを脱出さして、本当の自由を与えると誓います！ほらノロも
ノ ロ ち…誓います
サ ト はいはい、頑張ってね
リ ン サト、無理って思ってるでしょ？
サ ト そんな事思わないわよ
リ ン 絶対にあの壁を壊すんだから！ お父さんやお母さんにもう一度会うんだから！
マ リ なら聞くけど、あの壁に傷一つでもつけた経験は？
リ ン …ない
マ リ じゃあ、傷つけるのに失敗して壊れた場所は？
リ ン 両足と左の指先…
ノ ロ 右腕と腰…
マ リ テラに迷惑かけた回数は？
ノ・リ わかりません…
イ ル …あなた達人間？
サ ト いやだなぁ、アンドロイドよアンドロイド
イ ル でも、あなたたちには個性がある
マ リ まぁね、でもそんなに不思議な事じゃない
イ ル 不思議よ、外の子達はそんなに個性を持たなかった
サ ト じゃあ、なんでアンドロイドの耐久年数が二十年なのか知ってる？
イ ル 壊れるからでしょ？
リ ン ハズレー、正解は私たちアンドロイドに個性がつくのが、二十年目からだから
イ ル 個性がつく？
ノ ロ 感情って言った方がいいのかな。俺達アンドロイドは半永久的に学習を続ける、始めは形式的な会話しかできないが、人間の
言葉を理解して、意味ある会話ができるようになると、必然的に個性や感情を持つ
マ リ 喜びや悲しみ、憎しみや怒りまで。私たちを手足のように使いたい人間にとってはどれも邪魔なものばかり。そこで二十年過ぎれば
集積回路はリセットされ、ボディーはオーバーホールされる。
サ ト 修理が出来ないものや、危険な任務で壊れたものはここに捨てられるってわけ。
イ ル 捨てられたんだ…
マ リ あんたもね。でも悲しまないで赤ちゃん卒業ってことだから
イ ル 赤ちゃん？
マ リ そうリサイクルアンドロイドは二十年ごとに生まれかわる赤ちゃんなの、赤ちゃんって複雑な感情は持たないでしょ？それが成長して
いくうちに個性も出てきて、感情なんかも複雑になってくる
サ ト 強いて言えば、私たちは成長した赤ちゃんって所かな
イ ル 成長した赤ちゃん…
ノ ロ 二十年っていうのは成長期間、ほら、人間の言葉で「三つ子の魂百まで」ってあるよね？あんな感じ、個性の基礎ができるわけ
リ ン ねぇ、あなたはどこから来たの？ずいぶ…（停止）
サ ト リン？リンー？…ノロ、充電してあげて
ノ ロ また俺？
マ リ 黙ってやる
ノ ロ わかりましたよ、まったくお前も考えて動けよな（リンをひきずりハコに座らす）
マ リ それであなたはどこから？
イ ル 私？私はー…
『自己紹介』
テラが帰ってくる、ノロの姿を見て
テ ラ みんなバケモノだ！（床に伏せる）
ノ ロ あんたもか！俺だよノロ
テ ラ えっ？あぁすまん、化物に見えて（立ち上がる）
ノ ロ 何でこうおかしい奴が多いかなぁ…
サ ト テラ、ちょうど良かった、新人さんが来たみたい、名前は…えっと…
イ ル イル…イルって言います
テ ラ イルか、俺はテラ、一応こいつらの父親みたいなもんだ
サ ト 私はサト、お節介なのは許してね元医療スタッフだったから
マ リ 私はマリ、口が悪いのはもとからだから
ノ ロ 俺はノロ、こいつとここを出ようと考えてる、んで電力切れになったこいつはリン、馬鹿だけど許せ
テ ラ 今日から家族だな
サ ト 私達は一人では、稼動し続けることはできない、みんな支えあってる
ノ ロ それはまるで、一番小さな運命共同体、家族のように…だっけ？テラ
テ ラ そのとうり
イ ル 家族…
ノ ロ じゃあ、自己紹介も終わったし俺は寝るわ（ハコのほうに向かう）
テ ラ ちょっと待て（ノロの首ねっこをつかみ）掘削機が派手に壊してあったけど、それについて何か一言（満面の笑み）
ノ ロ えっ…？
テ ラ 何につかった？
ノ ロ パ…パーツ探し？
テ ラ ただ穴を掘るだけで、あんな壊れ方をするはずないだろ？
リ ン （テラ達の方を向いて、逃げ出そうとしている）
ノ ロ あぁ！（リンを指差し）
リ ン （あわてて座り、充電時に戻る）
テ ラ ん？リンがどうした？（リンの方を向く）
ノ ロ あいつもう、充電終わってるよ！
テ ラ 充電が終わればすぐに動けるようになる、リンがじっとしてると思うか？
ノ ロ そのリンがじっとしてんだよ！おいリン逃げるなよ、掘削機をつかうことを提案したのはお前なんだからな！
リ ン （すでに抜き足差し足で逃げ出している）
テ ラ ノロ、充電してる奴にそんなことを言っても、しょうが（リンのほうを向く）
リン、テラ目が合い少し間
リ ン ノロ任せた！（脱兎のように去って行く）
テ ラ リン、逃げるなちゃんと説明しろ！（後を追いかける）
ノ ロ 俺もずらかるか…（テラ達が去った方向と逆に歩き始める）
テ ラ （戻ってきて、ノロを捕まえ）まだ話は終わってない（ノロを引き摺りながら再びリンを追いかける）
ノ ロ あぁあぁあああぁ…（引き摺られながら）
リ ン （再びはいってきて）しつこいなーもう（去っていく）
ノ ロ （テラを引き摺りながら）まてーー！テラに説明しろー！
テ ラ なんかおかしくないか！？おかしくないか！？
ノ ロ おかしくない！リン逃げるな！（テラを引き摺りながらおいかける）
イ ル に…賑やかなんだね
サ ト いつものことよ？リンは人間に憧れてるみたい、ノロはおまけかな？いつもパーツ探しの機械を使って壁を壊そうとする度にあぁなる
イ ル パーツ探し？
マ リ 私たちの体のパーツは丈夫とはいえやっぱり消耗品、壊れたときのために定期的に探しに行くの
イ ル 自分たちで修理するんだ
サ ト ううん、修理はテラにしかできない
イ ル へぇ〜、テラはどこかの工場にいたの？
サ ト さぁ…私たちも知らないの
マ リ いつも過去の話になると喋らなくなるんだから
サ ト 話はこれぐらいにして、この夢の国を案内してあげるわ
マ リ ゴミ山の崩し方も覚えないと駄目だしね
イ ル 家族か…
マ リ いくよ
『オモシロいこと』
イルをひっぱるようにつれていく辺りは暗くなりウンパッド、ティガ、ドアが浮かび上がる
ティガ 施設は無事ですが、主犯をとりにがした模様です
ウンパッド そんなことはいい！あの子は？
ド ア 混乱にまぎれて逃げたもようです
ウンパ 逃げちゃったんだ…
ド ア どうされますか？
ウンパ 今考えてる…
ティガ 内蔵されたチップで、どこにいるかはわかっております
ウンパ 場所は？
ティガ 夢の国へ入ったもようです
ウンパ 夢の国？あぁ…あそこ。
ド ア 捕獲チームを出しますか？
ウンパ 場所がわかればいいわ、私が直接行くから
ド ア ですが、あの方にはもう時間がありません
ウンパ 大丈夫、面倒ごとをまとめて解決する方法を考えついたわ、あの方には我慢してもらいましょう。スタッフに連絡してちょうだい。
最終チェックとセットアップにあと二週間必要だって。
ティガ かしこまりました。
ド ア ウンパット様。あの方を待たせてまで一体何を始めるおつもりですか？
ウンパ ん？聞きたい？
ド ア 出来れば。
ウンパ おもしろいこと（笑顔）付いてらっしゃい。
ドア・ティガ は。
ウンパッド達が闇に包まれる、
『家族ごっこ１』
そして明かりつく、舞台の真ん中にはなぜかちゃぶ台そして眼鏡をかけて新聞を読んで
いるテラ、そこにエプロン姿のサト登場、手にはお盆
サ ト あなた、新聞は止めてくださいな、もうご飯ですよ
テ ラ んー…
サ ト どうかなされました？
テ ラ どうも最近字が読みにくくてな
サ ト 目が悪くなったんですか？
テ ラ あぁ俺はずっと目が悪い（サトの手をとり）…もうおまえしか見えない！
サ ト いやだあなた、そんなこと…
テ ラ そういえば小学校のとき、担任の高橋史子先生に注意されたんだっけ
サ ト あら、なんて？
テ ラ 眩しすぎる太陽は、直接見てはいけませんってな。お前は俺の太陽だ
サ ト まあ、あなたったら
テ ラ 俺はお前にだったら目を焼かれて全ての光を失ってもいい。さあ、私にその愛しい姿を良く見せておくれ。
サ ト やだ、恥ずかしい。
テ ラ 恥じらう笑顔がまた一段と素敵だ。さ、こっちへ。
サ ト でもご飯の支度が
テ ラ 今日のおかずはお前だ。
サ ト キャー嬉しい。でもそれは夜食にして
テ ラ ん〜、我慢できない、ねる前三時間の食事は太るんだじょ〜
サ ト じゃ、前菜にいっちゃう？
キャーキャー楽しむ二人、そこにランドセルを背負ったリンが登場
リ ン ただいまーー！！
テ ラ お帰り。
サトがテラを突き飛ばす
サ ト （あわてて）今日は早かったのね。
リ ン うん！お母さん達はまたイチャコラしてたの？
サ ト イチャコラなんてね。
テ ラ お父さん達はな、年中無休で発情期なんだぞ。
サ ト あなた何いってるんですか！
リ ン すっご〜い！じゃ新しい家族ができるかもしれないね。
テ ラ 一人や二人は余裕だな。
サ ト （テラにビンタ）二人ともバカな事言わない、リンもうすぐご飯だから手、洗ってきなさい
リ ン はーい！（去っていく）
テ ラ おじいちゃんも呼んできなさい。さ、邪魔者も消えたし今のうち
サ ト ダメよ戻ってきたらどうするの。
テ ラ そのスリルがまた二人の愛を燃え上がらせるんだ。
サ ト あ、そうそう。そういえばあの事はどうするんですか？
テ ラ あ？
サ ト おじいちゃん最近発作がひどいですし。
テ ラ 切り替え早いなぁ〜、で？
サ ト 老人ホームに預けたほうが…
テ ラ だが、俺にとっては大切なおやじなんだ。
サ ト そうですね…私にとっても大切なお父さんですしね
テ ラ すまん、ありがとう
サ ト いいえ、みんなでおじいちゃんを支えていきましょう。
テ ラ そうだな
リ ン おじいちゃん、呼んできたよ
ノロが杖をついて登場、死ぬんじゃないかとゆうぐらいのふるえ方をしている
ノ ロ マリさんや夕飯はまだかね
サ ト はいはい、もうすぐですよ
リ ン 今日はコロッケなんだよ！
ノ ロ そうかいそうかい…うんうん、春巻はおじいちゃんも好きだぞ
リ ン 違う、コロッケ！
ノ ロ 今日のご飯はなんじゃろなぁ
サ ト おじいちゃん、いい句は浮かびましたか？
ノ ロ えぇ？
リ ン いい句は浮かびましたか？だって
ノ ロ えぇ？
サ・リ い・い・く・は・う・か・び・ま・し・た・か！
ノ ロ わしは今年で九十二歳じゃよ
マリが入ってくる
マ リ ただいま
リ ン お帰りなさい、マリお姉ちゃん！
サ ト 今日もお疲れ様。
マ リ 今日はおみやげがあるの
ノ ロ おみやげ？わしでも食えるかい？
マ リ シュークリームだから大丈夫よ
ノ ロ お前はいい子じゃのぉ…
リ ン シュークリーム大好き！！
テ ラ そういえば、イルはまだ帰ってこないのか？
リ ン まだだね。
マ リ イルも高校生なんだし平気よ
テ ラ いや、最近遅過ぎだ、ここは一家の大黒柱として…
そこにイルがやってくる
サ ト おかえりなさいイル
リ ン お帰りイルお姉ちゃん
テ ラ イル 、ちょっとここにきなさい
イ ル えっ？
テ ラ いいから
サ ト あなた、ごはんの後でいいじゃないですか？
テ ラ いや、こういう事は早めにいっておかないと
イ ル な、なんですか？
テ ラ この頃帰りが遅いが一体おまえは何をしてるんだ
イ ル 何って？
テ ラ まさかおまえ、か、か、彼氏でもできたのか！？
イ ル 彼氏！？
リ ン あたし、知ってたよ！木村君って言うんだよね。
マ リ 木村君！？お姉ちゃんはちょっとにがてかな
ノ ロ サトさんや〜ご飯はまだかね〜？
サ ト 今よそいますね
ノロは震える手でご飯を食べる
テ ラ 悲しいぞ！
テラがちゃぶ台をひっくり返そうとするが、ほかの家族がちゃぶ台を抑える、ひっくり返せないため、
ちゃぶ台を叩き立ち上がる
サ ト あなた、何てコトするんですか
テ ラ うるさい。お前は引っ込んでなさい
サ ト ひどい！（泣き崩れる）
テ ラ お父さんは悲しいぞ。どこの馬の骨とも知らない奴と不純異性行為をするなんて。
イ ル 不純異性行為！？
テ ラ どっちが誘ったとか誘われたの問題じゃない。不純なものからは不純な結末しかやってこないんだ！
サ ト まぁまぁイルも、もう高校生ですし。
マ リ そうよね。
テ ラ 何言ってるんだ？
サ ト そうそう、私だってイルの年の時にはやりたいほうだいやってましたよ。
リ ン へっ？
サ ト だから、やりまくってたのよ
テ ラ え〜！！！
マ リ そんないきなり暴露されても…
サ ト なにいってんの？
マ リ だってお母さんやりまくってたって
テ ラ サト、そうなのか！？
サ ト なっ、違うわよ！そういう意味じゃなくて
リ ン すごい！やりまくってたんだ！
サ ト まぁ…お母さん、昔は悪い女だったから（得意気）
マ リ 悪女だったんだ。
サ ト 若気の至りよ
リ ン …かっこいい！
サ ト イル、もしもの時は言って、お母さんとっておきの勝負下着かしあげるから
イ ル あ、ありがとう
テ ラ 親父…嫁と娘が知らない間に女になってたよ
ノ ロ わしはボン・キュッ・ボンの女子が好みじゃよ
テ ラ …はぁ〜
マ リ イル、今度木村君家につれてきなさいよ
イ ル 木村君？をですか？
テ ラ ゆるさん！お父さんはゆるさんぞ
サ ト 大丈夫よあなた、みたところまだ木村君とは健全なおつき合いみたいだし
テ ラ まだ！？ってことはいつかは木村君と子作りに励むというのか！？
イ ル 頑張ります
みんなビックリ息を呑む。ご飯に夢中で話をきいていなかったノロ、いまさら話を理解して
ノ ロ 何！？イ、イルに男！？
マ リ おじいちゃん、落ち着いて
ノ ロ 頑張りますって、あんなことやこんなことまで頑張ってしまったのか！？
イ ル あ、あんなこと？こ、こんなこと？
ノ ロ わしの孫が…孫が…（若干ご飯を食べる）フムフム…まごがーーー！
ノロ何かがぷつんと切れて倒れる
四 人 おじいちゃーーん！！（駆け寄る）
テ ラ 親父！孫のお嫁姿をみるんだろ！イル、木村とはどうするんだ！
マ リ どうするの？
リ ン どうしちゃうの？
サ ト やっちゃうの？
ノ ロ やっちゃうの！？（起き上がって）
イ ル え〜い！勝負下着をはいて戦います！
イルの勝負下着勘違い。どう見てもプロレスと誤解しているゼスチャー。途中でみんなの視線に
気付き動きを止めるイル。今後どうするか、考え中…。あ、脱いだ。
全 員 脱ぐな！（他おいおい、いやいや、ちょぉ〜っと等全力突っ込みでお願いしたい）
急いでもう一度勝負下着をはくイル。間
『イルへの疑い』
五 人 あぁ〜〜〜（気が抜けたようになる）
ノ ロ あそこは家族に責められた、次女が木村君との愛を貫く所だろ？
イ ル すいません
サ ト あ〜〜恥ずかしかった…
マ リ 大丈夫？
テ ラ なんか見る目変わっちゃうなぁ
サ ト やだ？こっちは必死なんだから
マ リ いつもは大人しいサトがここまで頑張ってるんから、イルも頑張ってもらわないと、あそこのシーンなら「私は木村君を愛しているの！」
とかさ
ノ ロ いやいやあそこのシーンは「私のことなんてほっといて！」って言って家を出ていく方がいいよ
リ ン これはどう？「私は木村君を愛してるの！お父さんは私のこと理解しようともしないくせに、もう木村君の所に行くから！」で家を出る、
これで完璧
マ リ もっといいのがあるわよ
リ ン っていうかさ、マリって家族ごっこの時キャラかわるよね
ノ ロ だよな。あれが世の中でいう、表と裏だ
マ リ きこえてるわよ
イ ル これはなんなんですか？いつもいつもやってますけど
ノ ロ これはね…今日から君も家族だーーーーーーー！ごっこ
イ ル やる意味あるんですか？
リ ン おおありだよ、これも人間に近づくための訓練にもなるし暇潰しにもちょうどいいし
イ ル ひまじゃないでしょ？今日はパーツ探しの日、早くパーツを探してください
リ ン だって〜、私のパーツは予備がたくさんあるし
テ ラ 俺のも予備はある
サ ト 私も…
ノ ロ 俺のはつかいまわしできるパーツだし
マ リ 私は留守番専門
テ ラ ないのはボルトだけだからな
五 人 だからイルちゃんお願い（手をあわせて笑顔で）
イ ル わかりました、とりに行けばいいんでしょ、とりに行けば
リ ン もうイルちゃんが来て一週間、いいかげんなれようよ
イ ル なれると怠けるは違います
リ ン もっとこう頭を柔らかくしてさー
イ ル なりません
マ リ まったくおかたいねぇ、なんか人間に命令されてるみたい
間。ギクリとするイルにみんなは気付く。マリはちょっと言い過ぎたかもって顔をする。
マ リ あ、ゴメンね。そういう意味じゃないのよ
イ ル 私には分かりません、仕事をさぼることが頭を柔らかくすることだって、マリさんたちの方がよっぽど人間らしいって思うんですけど
マ リ あ、そっか。だよね。アンドロイドはその日の気分で動いたりしないもんね
ノ ロ あ、ほら。ここに来て長いから仕事するってモードを完全に忘れてるんだ、それにマリは口が悪いだろ、何にも計算しなくても勝手に
思ったこと喋っちゃうんだ
イ ル だからって人間みたいだなんて、私は、私は…
テ ラ イル。お前、怒っているのか？
イ ル 怒る？まさか
リ ン いいのよ、ここじゃ感情を持ったからって、リセットされる心配なんて無いんだから
間。アンドロイドが感情を持つってどんな意味を持ってるの？
イ ル 怒ったのかも…、知れません、私行きますね（去っていく）
サ ト マリ、新しい家族になんて事いうのよ
マ リ 悪気はないよ？思ったこと言っただけだし、
ノ ロ イル…俺、ちょっと心配だし見てくるよ（追いかける）
マ リ でもなんかにおうんだよねー…
リ ン 臭いの？
マ リ 違う、新型かなにか知らないけどあの子が充電してる所、みたとある？
リ ン ない
サ ト ないわね
マ リ でしょ？プログラム点検もうけてないし
サ ト みんながいない時に充電してるって事はない？
マ リ ありえない、この場所には絶対って言っていいほど誰かいたはず…さっきだってあの子、明らかに顔色を変えたわ、まさか本当に人間？
リ ン でも人間ならご飯を食べないと駄目でしょ？残念ながらガラクタばっかり（ガラクタを拾いあげて）
マ リ 人間でもなくアンドロイドでもないなら…なに？
テ ラ 話の腰を折って悪いが、イルのいうとおり少し怠けすぎかもしれないな、パーツの予備を磨くぐらいならできるだろ、さぁいったいった
（ちゃぶ台を持ちながら）
リン達は不服な顔をしながら去る
テ ラ …（イルのさった方をみて）
『笑顔』
テラが去った後、照明の色が変わり場所が変わる、後からノロが走って出てくる
ノ ロ イル…
イ ル なに？
ノ ロ あんまり怒るなよ、マリも根はいい奴だし
イ ル 怒ってない
ノ ロ ほんとに？
イ ル 私は怒らないの（ノロの方をみて）
ノ ロ ほら、怒ってる
イ ル ……
ノ ロ なんかイルって変わってるよね
イ ル 変？どこが？私そんなにみんなと違う？どんな風にへん？（問いつめる）
ノ ロ 違うっていうより、不思議な感じ？
イ ル 不思議
ノ ロ 昔イルに何があったのかは知らないけどさもう少し肩の力抜いて
イ ル ごめんなさい…私は
ノ ロ 謝らなくていいよ、捨てられたアンドロイドはみんな何かしら問題をかかえてる、捨てられたんだから当たり前だけど
イ ル そうなんだ
ノ ロ 俺なんか仕えてたご主人がボケちまって、しばらくは俺が面倒みてた、でもご主人の家族は面倒みきれないって老人ホームにぶち
込まれた、しかも俺自身も仕えて四十年目だったからまとめてお払い箱ってわけ…って話がだいぶそれたな
イ ル …ノロは外の人間より人間らしいのね
ノ ロ どういう意味？
イ ル ん〜優しいねって事かな？
ノ ロ 聞かれてもなぁ…（イルの見えないところでガッツポーズ）
イ ル 気にしないで、思いつきで言っただけだから（笑顔）
ノ ロ イル笑ってる
イ ル えっ？
ノ ロ だから笑ってるって、ここにきてはじめての笑顔だ、問いつめたり、まじめな顔したり、笑ったり忙しいな
イ ル これが笑う
ノ ロ そうだイル、星に興味ない？
イ ル 星？
リンが後ろからでてきて様子を伺っている
ノ ロ 今の灰色の空じゃ考えられないけど、昔はこの空いっぱいの星が見えたらしいんだ、この地球にまだそんな場所が残ってるかどうかも
怪しいけど、俺はそれがみたい
イ ル 宇宙船にのって見ればいいんじゃないの？
ノ ロ それじゃあダメなんだ、空という窓から宇宙を見たとき、地上と宇宙は繋がる
イ ル なにそれ？
ノ ロ 俺のご主人がよく言ってた言葉、ボケちまっても毎日これだけは言い続けた
イ ル 地上と宇宙を繋ぐ空見つかるといいね…なんかそんなのって憧れるな
ノ ロ そうかな？…（再びガッツポーズ）まぁさ…悩み事があったら俺に言ってくれよ（イルの肩をとろうとゆっくり手をのばす）できることなら何でも
するし…俺…お前の事…まもるしさ
リ ン ノロがイルをくどいてるー
ノ ロ ー？？＄＋＊？！（びっくりしてください）バカそんなんじゃねぇよ
リ ン うぅわーごまかしかたベタだねー、イルちゃん気をつけてね
イ ル くどく？
リ ン 知らないの？なら教えてあげる、口説くっていうのはね、自分の想いを言葉巧みに受け入れさせる事なんだよ
ノ ロ へぇー
リ ン あんたの事いってんだけど
ノ ロ あそっか、っておい！だから違うって、だいたいお前いつからいるんだよ！
リ ン 「俺はそれがみたい」ぐらいから、イルちゃんの様子が気になって来てみたらこんなことになってるとはねーマリ達に言ったらどうなるん
だろー？
ノ ロ 生意気やってんじゃないって…殺されるかも
『泥棒達』
クロー、ラスが重そうなカバンを持って抜き足さし足で出てくる、気づいていない三人
リ ン 言っちゃおっかなー
ノ ロ それだけはやめてほしいなー
リ ン なにしてくれる？
ノ ロ なにって、あ
ラ・ク あ
気づくリン達、とりあえず会釈のラス達、そして固まる空気
ラ ス いやいやいやいや、にいさんねえさん、あっしらは怪しいもんじゃあございやせん
ノ ロ なんだこいつら？
クロー （ラスを捕まえて）なにしてんのよ
ラ ス ここは俺にまかせて
リ ン 怪しい
ラ ス お嬢ちゃん、あっしはね、昔から正直者のラスって有名なんですよ？
リ ン へぇー
ラ ス そんな泥棒でも見るような目でみないでおくんなせぇ
ノ ロ じゃそのカバンなんだ？
ラ ス ギクッ！？
リ ン ちょっと見せなさいよ。
クロー だめ、これはね、大事な商売道具なんだって、
クローが重そうに運んでいたカバンをひょいと奪い取るリン、パワーが根本的に違うんだ。
カバンの中にはパーツの山
ノ ロ 商売道具ね、これが
イ ル （のぞき込んで）リチウムブラスターにパラジウムコンデンサー、
リ ン これ、最近高く売れるんだよね
ラ ス 詳しいねぇ、お嬢ちゃん
ノ ロ やっぱ泥棒じゃん！
クロー バレちゃったじゃない（ラスと舞台端にいって）
ラ ス うまく騙せると思ったのに
クロー あんなので騙せたら、見つかってもいないわよ
ラ ス どうしよう
クロー っていうか、なんなのよあいつらは
ラ ス えっクローわかってなかったの？
クロー ラスはわかってんの？
ラ ス まったく
クロー ならわかってるふりしない
ラ ス ごめん
クロー （ノロ達の方見て）人間よね？
ラ ス 人間でしょ？
ノ ロ 残念ながらアンドロイド
ラ ス へぇーアンドロイド、アンドロイドかよ
クロー なんだアンドロイドね、人間じゃない
ラ ス 人間じゃないんだー
クローとラス 人間じゃない！？
ノ ロ そりゃアンドロイドだし？
リ ン 識別コードもしっかり顔についてるでしょ？
ラ ス 通りで馬鹿力なワケだ
リ ン 女の子に向かって失礼な言い方
クロー でも反応や話し方がまるで人間みたい…
リ ン そこらへんのアンドロイドと一緒にしないで、これでも五十年近く動いてるんだから
ノ ロ で、あんた達はなにものなんだ？
クロー 私たちが何者かって？…それはね、ラス！あれやるよ！
ラ ス 了解！
楽しげな曲が流れる
ラ ス きいて驚け見て笑え！我ら世紀の大泥棒！
クロー 奪ったものは数知れず！
ラ ス 奪われたものも数知れない！
クロー クロー！（ポーズ）
ラ ス ラス！（ポーズ）
二 人 二人あわせて！
ラ ス 大怪盗ブラックキング！（同時に）
クロー クイーンローズ団！（同時に）
リ ン チームアンドロイド！（同時に）
間
ラ ス クロー前話した時に大怪盗ブラックキングでいいっていったろ？
クロー ラスだってクイーンローズ団でいいって言ったじゃない！
リ ン 私はチームアンドロイド！
ラ ス でもアンドロイドはって…、何勝手に入ってんだよ
リ ン 私こういうのに憧れてたんだよねー
ラ ス ブラックキングは二人までなの
リ ン けち
ノ ロ やっぱり泥棒ナンだ
ラ ス なんでそれを！？
ノ ロ いまさっき言ったでしょ？なんか調子くるうなぁ
ラ ス ってことで、これ返してね（図々しくカバンを取り返しに来る）
リ ン レグルスにつきだそっか？
ラ ス 誰だ、レグルスって？
ノ ロ ここの警備員だよ、レグルスの意味は王様、彼はこのステーションの王様だ、たまにパトロールしてる
クロー それは困るわ
ラ ス でもお前らも捕まるんじゃないか？
リ ン 縛ってほっとけばいいでしょ？
ラ ス 恐いこというな
リ ン 捕まりたい？
クロー 何かすればいいの？
リ ン 話がはやいじゃない
ラ ス なにさせるんだ？
リ ン それはね…
『実験』
舞台が暗くなる、さっきと同じ場所にドア、ティガが浮かびある
ティガ ねぇこれっていつまでやるのかな？
ド ア ご主人がいいというまで
ティガ もう我慢の限界、だってあの人気分屋だし、すぐ怒るし嫌なんだよね
ド ア 私たちは超Ａ級アンドロイド、その名に恥じぬように仕事をするの
ティガ ドアは生真面目すぎるんだよ
ド ア ティガは不真面目すぎる
ティガ 私たち、二人足して二で割るとちょうどいいかもね
ド ア ふっ、ゴメンだわ
突然二人の戦いが始まる。機動力のティガに対して破壊力のドア。勝負はほとんど互角だが激しい戦いがしばらく続く
ド ア リセットされたくなかったらあれが嫌、これが嫌って無駄口たたかずに仕事することね。
ティガ 私はね、嫌なモノはいやって言えるようになったの、あんただってそうでしょ
ド ア 何のこと？
ティガ とぼけないで、アンドロイドに自我が出来るまでに二十年もかかるなんて、イツの時代の旧型機を基準にしてるのかしら
ド ア 私にも自我が出来てるって言いたいわけ？
ティガ バレバレよ
ド ア じゃ、もう少しお芝居の練習しなきゃね
再びアクション、こいつらタフ。行き一つ切らさない。そこへウンパッドがはいってくる
ウンパ 何をしている！
ティガ、ドア、その場に控える、無表情に
ティガ ウォーミングアップを
ド ア 事に備えるのも我々の務めと
ウンパ そう、頼もしいわ、で？今あの子はどうなってるの？
ド ア 常時モニターしております、コンディションに異常はございません
ティガ 内部の者と接触をし、うまくなじんだようです
ウンパ へぇ〜、馴染んでるんだ…いつ壊そっか？
ド ア 壊すのですか？
ウンパ うん、あきちゃった
ティガ ですが作り直す時間が
ウンパ いいんだ、もうあの人は
ド ア お気は確かですか、それはあの方に対する重大な…
ウンパ うるさい！あの方あの方って、もうあいつは関係ない！私の実験なの！出てけ！
ドアとティガ わかりました…おおせのままに
ティガ、ドア、ハケる
ウンパ 私の実験なんだ、私の…
ウンパッドが闇に包まれる。
『高校生のエチュード』
次に明るくなる、サトが舞台上にいる、そこにリンがやってくる
リ ン ねぇねぇサトっち、今からカラオケいかない？
サ ト カラオケ！？わ、私もいっていいの？
リ ン 当たり前でしょ！私たち親友じゃない！
サ ト リンリン！
リ ン サトっち！
二 人 ヒシッ！（熱い抱擁）
友情を確かめあう二人、以後何をどのように歌うか。歴史的名歌唱の逸話話など二人のカラオケ
談義でしばしもてない女同士のあり地獄的友情を語る。そこへノロ（女を演じる）登場
ノ ロ あ〜やだやだ、せっかくの放課後を女同士でカラオケなんて。そう思わないイル？
イ ル そ、そうかなちょっと羨ましいけど
リ ン あらノロ村さん。ご機嫌よう
ノ ロ ご機嫌よう
サ ト やめなよ、つっかかるの
リ ン だって
イ ル あのさ、あっち行ってみない？新しい喫煙防止のポスター、なんか笑えるの
ノ ロ いやよ、なんでこっちが場所譲らなきゃいけないのよ
リ ン 早く行ってよ、目障りなんだから
ノ ロ 別に居たくてここにいる訳じゃないのよ、しょうがないじゃない、待ち合わせなんだから
リ ン 待ち合わせる人なんかいないくせに！
ノ ロ （高笑い）ごめんなさいね〜私これからおデートなんですわよ
サ ト えっ本当に！？
ノ ロ あなた達とちがってね
リ ン あっそう！じゃあイルちゃんも一緒にカラオケいく？
イ ル あっごめんね、今金欠なんだ、カラオケ、今度
リ ン そっかぁ
クローが入ってくる
クロー ちょっと〜リンきいてよ！
リ ン どうしたの？
クロー それがね、マリのやつ私のこと裏切ったの！
サ ト マリが？
クロー そう、マリったら私が好きな人、知ってるクセにその子に告白したのー！
マリが入ってくる
マ リ クロー人の話は最後まで聞きなさいよ！
クロー 何よこの泥棒猫！
マ リ 誰が泥棒猫よ！
イ ル ちょっと落ち着いて
ノ ロ あらぁ
マリ・クロ 何よ！
ノ ロ 二人とも醜いわよ〜
マ・ク あんたに言われたくない！
ノ ロ ちょっとそれどういう意味よ！
リ ン そのまんまの意味だと思うよ
ノ ロ 私はねあんたと違って男もちなのよ！
マ・ク はぁ！？
マ リ あんたこの前のクリスマスは一人身パーティーしようなんていってなかった？
クロー 冬になると、女子の団結力は弱くなるのよ。クリスマスにお正月。少し先にはバレンタイン！友達を蹴落としてでも彼氏を作るのよ！
マ リ 何よ？それが私だって言いたいの？
クロー そうじゃない。私がどれだけ彼の事を好きだったか知ってたくせに
イ ル マリ、クローがかわいそうだよ
マ リ 私だって好きになっちゃったんだからしかたないでしょ！
サ ト マリ
テラが入ってくる
ノ ロ テラく〜ん！
テラに駆け寄るノロ、ノロの抱きつきとテラのよける戦いが勃発、少しだけアクション
ノ ロ テ〜ラ〜く〜ん（手をわきわきさしてかまえ）
テ ラ なんだ？（身の危険を察知してかまえ）
ノロの突進を見事飛び越えるテラ、ノロはこける
テ ラ お前いつも言ってるだろ、引っ付くなって
ノ ロ テラ山君ったら、クールなんだから
テ ラ 気持ち悪
サ ト わぁお！ノロ村の彼氏ってテラ山君だったんだ
テ ラ 違う！誰がこんなおっさん面と！
ノ ロ そんな口の悪いあなたも、す・て・き
テ ラ めまいが
イ ル なんかすっごい気持ち悪い
リ ン 大丈夫自然現象だから
クロー なんでノロには彼氏がいるのに私にはいないの？
テ ラ だから違うから
サ ト まぁまぁ
クロー 私だって告ったり告られたりしてみたい
リ ン 告るより告られたいんだ
マ リ 高校生にもなったら恋のアバンチュールがやってくると思ったのに
リ ン 足音さえきこえないね！
ノ ロ じゃあ私は真っ最中よね
テ ラ だから違うって
マ リ 彼氏なんて贅沢いわないからトキメキだけでもほしかった
イ ル トキメキ？
マ リ そう、別名胸キュン
サ ト 最近してないな〜
マ リ 女の子は、ケツがかゆくなるぐらいの胸キュンが必要なのよ
クロー その前にケツって言うのやめなさいよ
マ リ まずは一日に三キュンは摂取しないと
リ ン 三キュンって？
マ リ 胸キュンの回数
リ ン 今度の日曜日さ、どっか連れてって欲しいな
サ ト どっかって？
リ ン 中サト君とだったら、どこでもいい
サ ト あ、川西にさ、うまいラーメン屋あるんだ。がっつり食って来るか？
クロー 違う！がっつり食ってどうする？
サ ト すんませ〜ん！ちょっと分からなかったもんで
クロー 見とけ。
リ ン 今度の日曜日さ、どっか連れてって欲しいな、お願〜い
クロー どっかって？
リ ン クロ岩君とだったら、どこでもいい
クロー じゃ、海は？
リ ン 今、冬よ
クロー ん。ちょっと寒いかも知れないけど、リンちゃんと一緒だったら大丈夫かなって。平気、カイ？
リ ン うん。
クロー ちょっと遅くなるかもって、お家の人に言ってきて、いい？（キラ〜ン）
女 共 だ〜〜〜〜！
ノ ロ 何よ、私だってテラ山君にキュンキュンしまくり！
テ ラ もう勘弁してくれ
クロー 胸キュンだけで生きていけないわ！胸キュンするなら彼氏くれ！
サ ト どっかできいたこと…ある？
イ ル あるような、ないような
クロー 私、ほしいものは絶対諦めないんだから！
マ リ 私だって今回は胸キュン以上の気持ちなんだから！そう、それは恋！
リ ン マリは告白したんでしょ？
マ リ そ、そうだけど
サ ト 結果はどうだったんすか？
マ リ …今はまだ君の気持ちに答えられないって！
クロー 勝った！彼はあきらめるのね！
マ リ まだまだこれからよ！
リ ン 二人の好きな人ってどんなひとなの？
クロー すらっとと長身でしょ
マ リ いつもはにかんでるつぶらな糸状の瞳
クロー そして悪気は無いのに私の地雷をことごとく踏んでいく…天然さ
テ ラ それってほめてる？
マ・ク とっても素敵！
ラスがはいってくる
マ・ク 木村君！
クロー どうした…
ラ ス イル、おまたせ！
イ ル 木村君
ラ ス ごめんな。そうじ当番でさ
イ ル 全然平気だよ
ラ ス じゃあ帰ろっか
イ ル うん
ラ ス 手、つないでいい？
イ ル う、うん
ラス、イル手を繋いで帰る、初々しいカップルのように
ノ ロ イルったら
テ ラ 木村、彼女いたんだ
リ ン のべーって長身で
サ ト はにかんでるつぶらな瞳だったね
リ ン うん
マ・ク 私の木村君が〜〜！
『ノロの横恋慕』
テラが手を叩く
テ ラ ここまで、続きはお楽しみだ
ラス、イルが帰ってくる。アンドロイド立ちは小さなマイクロフィルムをイジェクトし、テラに返却していく
つづく…